多田消化器内視鏡クリニック

2019.10.26

疾患紹介編:#3 ピロリ菌 part 1
講演会も無事に終了し、やっと時間を作ることができたので、ブログを更新しまーす。
私が専門としている領域の一つ、「ピロリ菌」について、数回に分け詳しく紹介していきます!

ピロリ菌、名前はかわいいですが胃がんの原因になる恐ろしい細菌です。(図1)
日本人の実に半数以上の方が、知らない間にピロリ菌に感染しています。

たばこを吸う人が肺がんになりやすいのと同様に、ピロリ菌が胃に感染していると胃がんになりやすいことが研究で証明されています。
ピロリ菌により慢性胃炎が引き起こされ、徐々に胃の粘膜は荒れていきます。傷みが進むと、そこに胃がんが発生するのです。(図2)

菌を殺すことができれば、胃粘膜の荒廃が進むことを止められ、胃がんになる確率を大きく下げることができることもわかっています。(図3)
ピロリ菌に感染していても、熱が出たり胃が痛くなったりといった症状は全く出ませんので、無症状でも積極的に検査を受け、感染していることが判明すれば除菌を受けることをお勧めします。
胃粘膜が荒れてしまう前にピロリ菌感染に気付くことが重要であり、若年で除菌ができれば非常に効果的です。

最近は人間ドックの一項目としてピロリ菌検査を選択できることが一般的です。
また、堺市では、2022年3月までは「がん検診受診促進強化期間」として、35歳から49歳の方に限り、一度だけ無料でピロリ菌の検査を受けることができます。
当院でも受け付けておりますので、対象の方はこの機会に是非ご利用ください。

除菌治療は簡単で、3種類の薬を1週間服用するだけです。そして、2カ月後ぐらいに除菌が成功したかどうかを確認します。最近のお薬は優秀で、成功率は90%近くに上ります。万が一、失敗しても、薬を変えてもう一度トライできますので心配しないでください。

ただ、除菌薬をお渡しする前に、その時点での胃がんの存在を否定するために一度は胃カメラを受けて頂く必要があります。胃がんになる確率を下げることが目的で除菌を行うのに、すでに胃がんになっていることに気付かず除菌だけして安心していては本末転倒だからです。
当院では麻酔をかけ、眠っている間に胃カメラを受けて頂くことができますので、気楽にご相談ください。

次回は、ピロリ菌検査の種類や薬の内容、治療後の注意事項などについて書きたいと思ってます。